かつて海外不動産投資は、個人の所得税や住民税を圧縮する節税対策として広く活用されていました。しかし、令和2年度(2020年度)の税制改正により、現在では個人による節税スキームは大きく制限されています。

この記事では、海外不動産投資における減価償却の仕組みや、税制改正による個人と法人の違い、そして現在の税制下における運用方法や注意点について客観的に解説します。

ワーママ投資家アユ

中学受験を控える小学生のママ👶

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海外不動産投資が節税対策として活用されていた理由

税制改正前、海外不動産投資が個人の節税対策として有効だった背景には、「減価償却の仕組み」と「損益通算」が大きく関係しています。

建物比率の高さと「簡便法」による早期償却

不動産の購入費用のうち、減価償却(経費計上)の対象となるのは建物部分のみです。海外不動産は日本国内の物件に比べて建物価格の割合が高く、減価償却費を大きく計上しやすい特徴があります。さらに、築年数の古い中古物件であれば「簡便法」という計算方法が適用され、数年間という短期間で多額の減価償却費を計上できました。

給与所得等との「損益通算」

多額の減価償却費を計上することで、不動産所得を意図的に赤字にします。この赤字を給与所得など他の所得から差し引く(損益通算する)ことで、個人の課税所得を減らし、結果として所得税や住民税を軽減することが可能でした。

売却時の税率差(譲渡所得)

5年を超えて保有した後に売却した場合、長期譲渡所得として給与所得よりも低い税率が適用されます。保有期間中は損益通算で税負担を減らし、売却時にも税率の優遇を受けられる点がメリットとされていました。

令和2年度税制改正による変更点と背景

上記のような節税手法に対し、会計検査院からの指摘等もあり、令和2年度の税制改正で新たな規制が設けられました。

【改正内容】

個人が海外の中古不動産から生じた不動産所得の損失(赤字)のうち、「減価償却費(簡便法等)に相当する部分」については、損失が生じなかったものとみなされることになりました。

つまり、不動産所得の赤字を、給与所得など他の所得と損益通算して税金を減らすことができなくなりました。

【背景】

高額所得者による過度な節税を防ぎ、国内の税収減少や資産の海外流出を抑制する目的で実施されました。

個人と法人における規制の違い

この税制改正で注意すべき点は、規制の対象が「個人」に限定されているということです。

項目個人による所有法人による所有
減価償却(簡便法)の適用計算上は可能可能
他所得との損益通算不可(給与所得等との相殺はできない)可能(法人の事業利益との相殺が可能)

法人の場合、海外中古不動産の減価償却によって生じた赤字を、本業の利益と損益通算することが従来通り認められています。そのため、現在でも法人名義での投資は節税対策として機能します。

税制改正後における個人の対応策

個人による給与所得との損益通算は制限されましたが、海外不動産投資自体で収益を上げる方法は引き続き存在します。

  1. 法人を設立して投資する
    個人名義ではなく法人名義で物件を購入することで、税制改正の制限を回避し、事業所得と損益通算を行うアプローチです。
  2. インカムゲイン(家賃収入)を目的とする
    節税目的ではなく、純粋な利回り商品として運用する方法です。人口増加や経済成長が見込める国では賃貸需要が安定しており、長期的な家賃収入の確保が期待できます。
  3. キャピタルゲイン(売却益)を目的とする
    不動産価格の上昇が見込めるエリアで物件を購入し、将来的な値上がり益(売却益)を狙う運用方法です。
  4. 不動産所得内での損益通算を活用する
    規制されたのは「給与所得など他の所得」との通算です。もし国内不動産などで大きな不動産所得(黒字)がある場合、海外不動産の赤字と「不動産所得同士」で通算することは現在でも可能です。

海外不動産投資の主なリスクと注意点

海外不動産投資には、国内不動産とは異なる特有のリスクが存在します。投資を検討する際は以下の点に留意する必要があります。

  • 為替リスク: 購入・売却時の価格や家賃収入は為替レートの変動に直接影響を受けます。円高に振れた場合、円換算での資産価値や収益が目減りする可能性があります。
  • 融資の難しさ: 国内の金融機関は海外物件への融資に消極的であることが多く、原則として多額の自己資金が求められます。現地の金融機関を利用する場合も、外国人向けの審査は厳格です。
  • 管理会社の実態: 現地の管理会社に業務を委託することになりますが、国によっては商慣習やサービス品質が日本と大きく異なります。信頼できる現地のパートナー選びが重要です。
  • 税制・法務リスク: 投資対象国の法律や税制が変更され、想定外の税負担や規制が発生するカントリーリスクへの備えが必要です。

まとめ

令和2年度の税制改正により、個人が海外不動産の減価償却を利用して給与所得等の税金を減らすことはできなくなりました。一方で、法人は引き続きこの仕組みを利用可能です。

現在の海外不動産投資において個人で利益を出すためには、節税目的ではなく、現地の需要に基づいた家賃収入や売却益を狙う「本来の不動産投資」としての視点や、法人化などの事業計画が求められます。特有のリスクを理解し、慎重に検討することが大切です。

ワーママ投資家アユ

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